強盗罪とは|強盗の定義・量刑や逮捕された場合を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

強盗罪とは|強盗の定義・量刑や逮捕された場合を弁護士が解説

刑事弁護コラム 強盗罪とは|強盗の定義・量刑や逮捕された場合を弁護士が解説

強盗罪とは|強盗の定義・量刑や逮捕された場合を弁護士が解説

 強盗罪とは,暴行又は脅迫を用いて,人の金品等を奪う行為です。金品等の有体物を奪う場合は,236条1項の強盗罪が成立し(「1項強盗」などと呼ぶこともあります),それ以外のサービスそれ自体や債権等の形に残らない便益を受けた場合には,236条2項(「2項強盗」と呼ぶことがあります)の強盗罪が成立します。
 そして,「暴行」「脅迫」とは,人の犯行を抑圧する程度の態様で行う必要があります。なので,軽く押しただけ等では,成立しない可能性があります。
 また,この暴行,脅迫は,財物奪取に向けて行う必要があります。即ち,暴行,脅迫した後に,財布が落ちているのを見つけて,そこで初めて犯意を生じて,財布を持ち帰ったような場合には,強盗罪は成立しません。
 また,財物を奪取した後に,所有者等から追及を受け,取返しを免れるために,暴行,脅迫等を行った場合には,事後強盗罪という犯罪が成立します。

強盗罪の条文

強盗

刑法236条

 1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
 2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

公訴時効

 10年(刑事訴訟法250条2項3号)

強盗致死傷

刑法240条

 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

公訴時効

 強盗致傷・強盗傷害罪: 10年(刑事訴訟法250条2項3号)
 強盗致死・強盗殺人罪: なし(刑事訴訟法250条1項柱書)

強盗事件の弁護活動

 上記のように,強盗罪は他の罪と比べても重く,強盗罪を犯したと疑うに足りる相当な理由が存在すると判断されれば,基本的には逮捕のうえ,10日間の勾留を受ける可能性が高く,その勾留も延長される可能性があります。
 一方で,犯罪に及んだこと自体は間違いない場合でも,強盗罪ではなく,罪名が窃盗罪及び暴行罪に罪名が代わることはよくあります。先ほど述べたとおり,強盗罪における暴行,脅迫の程度は,人の犯行を抑圧する程度と,比較的強度な態様について定めているため,それほど強い暴行等でなければ,強盗罪が成立しない可能性があるからです。そうすると,同居の親族等による身元引受書等を用意することで,早期の身柄解放が可能な場合もあります。
 したがって,強盗罪の弁護活動としては,まずは本人の話をよく聞き,事案について本当に強盗罪が成立するか判断し,それに基づき取調べの対応等の方針を決める必要があります。
 そして,強盗罪が成立することが間違いない場合は,捜査段階においては,まずは被害者の方と示談をすることが必要になります。強盗罪は重罪ですが,捜査段階で有効に示談が成立し,被害者の方から宥恕(事件について犯人を許しましたという被害者の意思表示)が得られれば,不起訴となる可能性があります。
 仮に,起訴されてしまった場合でも,示談が成立しているか否かは量刑判断においては重要であるため,示談交渉を重視し,執行猶予を取りに行くことが重要となってきます。
 勿論,実際には強盗をしていないのに,起訴されてしまった場合には,無罪を狙って弁護活動を行います。

強盗罪の判例・裁判例

甲府地方裁判所平成26年8月7日

事案の概要

 被告人は,金品窃取の目的で,被害者宅に窓から侵入し,金品を物色していたところ,被害者が目を覚ましたため,金品を強取することを決意し,同人にカッターのような刃物を突きつけ,脅迫し,強取しようとした。しかし,被害者の反抗を抑圧するに至らず抵抗されたため,殺意をもって,同人の頸部を締め付け,窒息死させた事案。
 被告人の犯行は,身勝手で短絡的であり,犯行の経緯や動機に同情すべき点はない。被害者遺族の悲しみは計り知れないものである上,被告人は強盗罪を含めた多数の前科があり,犯罪性向が進んでいた。被告人が自ら犯行を告白したことを考慮したとしても事件の重大性があまりに大きく,減軽の余地はないとして無期懲役刑に処した事例。

甲府地方裁判所平成26年6月20日

事案の概要

 被告人は,金品窃取の目的で,被害者宅に窓から侵入し,金品を物色していたところ,被害者が目を覚ましたため,金品を強取することを決意し,同人にカッターのような刃物を突きつけ,脅迫し,強取しようとした。しかし,被害者の反抗を抑圧するに至らず抵抗されたため,殺意をもって,同人の頸部を締め付け,窒息死させた事案。
 被告人の犯行は,身勝手で短絡的であり,犯行の経緯や動機に同情すべき点はない。被害者遺族の悲しみは計り知れないものである上,被告人は強盗罪を含めた多数の前科があり,犯罪性向が進んでいた。被告人が自ら犯行を告白したことを考慮したとしても事件の重大性があまりに大きく,減軽の余地はないとして無期懲役刑に処した事例。

福岡高等裁判所平成24年10月4日

事案の概要

 被告人は,CDアルバム及び発砲酒等を窃取し,警備員に取り押さえられたところ,所持していた包丁で警備員に傷害を負わせ逃走し,さらに通路上にいた歩行者に対しても包丁を突きつけ暴行を加えて傷害を負わせたものであるとして,強盗致傷罪で起訴され一審において懲役9年の言い渡しを受けた。これに対し被告人が法令適用の誤り及び量刑不当を理由に控訴した。
 福岡高裁は,被告人の窃盗後においてはいまだ逮捕されうる状況が継続していたのであるから,被告人のなした暴行は窃盗の機会の継続中になされたものであるとして強盗致傷罪の成立を認めた原判決は正当であるとした。また,量刑不当の主張については,短時間で窃盗を2回も繰り返していることや被害者らの負った傷害の程度,被害金額も1万4000円と少なくないことに鑑みると不当なものではないとして,被告人の控訴を棄却した。

津地方裁判所平成24年7月13日

事案の概要

 被告人は,出所後に草刈り作業員として働いていたが持病の痛風が悪化して働けなくなり,生活保護も受けられなかったことから自暴自棄になり,包丁をもってなにか大きな事件を起こしてやろうと考え,ジャンパーの裏に包丁を隠し持ち,スーパーマーケットにおいて寿司パックなど4点を盗もうとし,被告人が寿司パック等を結んだところを同店の副店長2名に取り押さえられバックヤードに連行されたところ,隠し持っていた包丁を振り下ろし,副店長の一人に加療二ヶ月を要する傷害を負わせ,もう一人の副店長に対し包丁を振り上げ「殺してやる。」など怒号をあげて脅迫したという事案。
 裁判所は,被告人は被害者らがすぐ側に立っていることを認識しながら,狭い場所で,刃体15センチメートルもの包丁を迷うことなく振り下ろしたものであって,一歩間違えばより重大な結果が発生していた可能性も否定できない相当に危険で悪質な犯行であるとした。また,被告人が犯行に至った経緯や動機について見ても,被告人は一度仕事を見つけ,アパートに入居できるよう手配してくれた勤務先の人や知人等の手助けがあったにも拘わらず,被告人はその幸運を十分に自覚することなく年金が受給できるかといった確認もせずに安易に犯罪に走ったのであるから,酌むべき点はないとして,被告人に懲役7年を言い渡した。

まとめ

 いかがだったでしょうか。これまで強盗罪について説明してきました。強盗罪の嫌疑をかけられてしまった場合や,被害にあってしまった場合には一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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