わいせつ事件|わいせつで冤罪逮捕も有り得る問題を弁護士が解説|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

わいせつ事件|わいせつで冤罪逮捕も有り得る問題を弁護士が解説

刑事弁護コラム わいせつ事件|わいせつで冤罪逮捕も有り得る問題を弁護士が解説

わいせつ事件|わいせつで冤罪逮捕も有り得る問題を弁護士が解説

 ある有名俳優が派遣型マッサージ店の女性に性的暴行を加えたとして,強制性交の疑いで逮捕された事件は記憶に新しいのではないでしょうか。この事件に代表されるように,整体やマッサージ店等でのわいせつ事件は多発しています。
 今回はこのようなわいせつ事件とそれに伴う冤罪問題にも触れて解説してまいります。

わいせつ事件とは

 「わいせつ」とは,いたずらに性欲を興奮または刺激させ,かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反するものというと判示されています(最判昭和26年5月10日)。
 わいせつ行為の具体例は指を陰部に挿入する行為,被害者の意思に反して乳房,尻等に触れる行為,強いて接吻する行為等があります。人の体に触れて治療をする業界には特有の問題とも言えます。サービスの性質上,一歩間違えれば,わいせつ行為,セクハラ等という破廉恥な事件が起こりかねない業界です。
 それでは,最近多発している整体やマッサージ店等でのわいせつ行為に対して,どのような刑罰が科され得るのか,見ていきましょう。

わいせつ事件に関する刑罰例

刑法第176条(強制わいせつ)

 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。

 暴行の具体例として,殴打や体を押さえつけることのほか,衣服を引き剥ぐ等の行為が考えられます。
 ちなみに,強制わいせつ罪は法改正で親告罪から非親告罪になりました。親告罪とは,被害者やその親族等から刑事告訴が行われなければ,刑事事件として警察等の捜査機関が捜査を進めることができないものです。改正以前の性犯罪が「親告罪」であった理由は,被害者の感情やプライバシー保護を重んじていたからと言われ,強姦やわいせつ行為の被害に遭ったことを周りに知られたくない,あるいは捜査によって事件を思い出したくないという気持ちを勘案しているとされていました。しかし,性犯罪に対しては厳罰で臨むべきだという社会情勢の変化を踏まえ,今回ようやく以上のような性犯罪が非親告罪と改定されたのです。

刑法第177条(強制性交等)

 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法第178条(準強制わいせつ及び準強制性交等罪)

 1 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
 2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、5年以上の有期懲役に処する。

 心神喪失とは,精神機能の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。抗拒不能とは,心神喪失以外の理由で心理的又は物理的に抵抗が不可能となっている状態,若しくは著しく困難な状態のことをいいます。前者の例としては睡眠,酩酊,高度の精神病等により被害者が行為の意味を理解出来ない場合があり,後者の例には錯誤により抵抗の意思を失っているもの等が考えられます。

刑法第180条(未遂罪)

 第176条から第178条までの罪の未遂は、罰する。

刑法43条(中止犯)

 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することが出来る。ただし自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

 被害者に懇願されたために中止した事案では中止犯が認められております。
 次に,実際に起きた整体やマッサージ店,病院等でのわいせつ事件とその判決例をみていきましょう。

わいせつ事件と判決例

 Ⅰ 平成28年8月~9月,整体師の被告人が自ら院長を勤めていた東京・銀座の整体院で20代と30代の女性に対し,それぞれ施術だと思わせて胸を触る等のわいせつ行為をした。平成29年,準強制わいせつの罪に問われていた東京地裁は,懲役2年6月,執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。小顔や骨盤矯正の施術に定評のある整体師として,テレビや雑誌に取り上げられていた。裁判官は「整体師としての信頼に乗じた卑劣な犯行であり,被害者は男性に体を触られることに恐怖を感じるようになる等,現在も精神的苦痛が続いている」と指摘。一方,執行猶予判決とした理由に,被害者と示談が成立していること等を述べた。

 Ⅱ 平成22年4月~平成25年12月,自ら経営するオイルマッサージ店の女性客5人に対して暴行し,強制性交や強制わいせつの罪に問われていた被告人に対し,最高裁第1小法廷で裁判長は,平成30年,被告の上告を棄却する決定をした。懲役11年とした一,二審判決が確定した。被告人は公判で「合意があった」と無罪を主張しましたが,一審宮崎地裁判決は「抵抗を著しく困難にし,わいせつ行為に及んだ」と指摘。二審福岡高裁宮崎支部もその指摘を支持した。

 Ⅲ 平成27年5月30日,被告人が整体師として開業した整体院に来た被害女性(19歳)の施術中に馬乗りになり,勃起した陰茎を押し付けた。さらに,乳房をもみ,下着の中に直接指を入れて強制わいせつをした。裁判長は判決理由として,被害女性がうつぶせ状態でうたた寝をしていることに興じ,馬乗りになった状態で勃起した陰茎を押し付けたり,さらに胸をもんだり下着の中に指を入れ陰部を直接触る等悪質で卑劣な犯行であり,情状の酌量の余地はないとして,懲役1年6月の判決を言い渡した。しかし,その一方被害女性に対して示談金100万円を支払っていること,被告人本人が反省していることや自己が経営している整体院を閉店して再犯防止に努めていること等を酌量して執行猶予3年を付けた。

 Ⅳ 長野県の病院に勤務していた医師の被告人は,平成28年12月,入院していた10代の少女の体を触ったとして,準強制わいせつの罪に問われていた。裁判で弁護側は「客観的証拠がない」等として無罪を主張,一方検察側は「卑劣な行為」として懲役3年を求刑した。結果平成29年 の判決公判で長野裁判所の裁判長は,「被害者の証言等は不自然でなく,信用を左右するものではない」と述べ,「犯行は身勝手で,計画性は強くないことを考慮しても悪質性が高い」として,懲役2年の実刑判決を言い渡した。

 Ⅳ 平成22年から23年にかけて ,自宅等で「合宿治療」と称して少女らを宿泊させ,睡眠導入剤等を飲ませて抵抗できない状態にさせ,体を触ったり,写真を撮影したりする等したとして,準強制わいせつ等の罪に問われていた元警察官で整体業の被告人の判決が平成24年,釧路地裁帯広支部であった。
 裁判官は「被害者らの人格を蹂躙(じゅうりん)し,動機に酌量の余地は全くない」等として,求刑通り懲役6年を言い渡した。

冤罪とは

 冤罪とは,無実であるのに犯罪者として扱われることをいいます。性犯罪・わいせつ事件の捜査においては,警察官による犯人逮捕の際に,被害者や目撃者の供述を重視して捜査される場合が多いことから,被害者らが犯人を見間違える,勘違いする等の事情が介在して,誤認逮捕されるケースが考えられます。
 整体やマッサージ店,病院で起きているわいせつ事件の中には,施術する側が実際に治療の一環として行ったつもりでも訴えられてしまったり,金銭的な目的で訴えられてしまったりする場合があります。
 マッサージ店等でのわいせつ事件は,痴漢と同じで,女性が被害を訴え出たら,男性側はやっていない証拠を出さない限り,犯人扱いされてしまいます。監視カメラで施術シーンを撮影していれば事実がハッキリするでしょうけど,それでは盗撮騒動になりかねないのです。
 冤罪を証明する事は非常に難しいのですが,以下のようなケースがあります。

平成31年2月20日 東京地裁判決

 2016年に乳腺外科医師が手術直後の女性患者の胸をなめた等として準強制わいせつの罪で逮捕・起訴された事件。検察側は「極めて悪質」「被害者の処罰感情は厳しく,社会的影響も大きい」等として懲役3年を求刑。弁護側は,女性の訴えは麻酔の影響による「せん妄」がもたらした「性的幻覚」等と主張し,無罪を主張していた。公判が再開されるのを前に,「乳腺外科医師冤罪事件の真相を知る会」(外科医師を守る会主催)が開かれた。足立区の病院で同年5月10日に起きたこの事件は,千住警察署から警視庁捜査一課主導の捜査となり,8月25日の逮捕までの間,被告人を執拗に尾行しゴミの中から家族のDNAを採取したり,病院職員全員の名簿や病院長室にあった多数の資料を押収したりする等,およそ「わいせつ事案」とはかけ離れた捜査手法が問題視された。弁護団を代表し,事件の経緯と1年5カ月間に及んだ非公開の「期日間整理手続」の要旨を紹介した黒岩哲彦弁護士は「手術直後に『ふざけんなよ,ぶっ殺してやる』等と叫んだ被害女性の発言が,全身麻酔の影響かどうかがポイント。女性は麻酔が切れていない状態で見た性的幻覚を事実だと思い込んだ可能性が高い」とし,さらに「警察・検察が被害者の胸から採取したと主張する被告のDNAは本人のものかどうか疑わしいばかりか,そのDNAを捨ててしまっていた」と検察側の致命的なミスを指摘。公判では「犯罪とされる行為自体がなかった」ことを専門医の再実験や証言によって明らかにしていくと報告した。2019年1月8日,公判が東京地方裁判所であり,検察側は懲役3年を求刑。一方,弁護人は無罪を主張。結果として,2019年2月20日に無罪判決が言い渡された。

 ※外科医師を守る会…無実を訴え続ける外科医師の人権を守るためにも,医療現場に混乱や萎縮を与え,さらなる医療崩壊をもたらさないためにも,外科医師の早期釈放を求めて署名活動などに取り組んでいる。

 この例のように,わいせつ事件の冤罪の争点は,被害者の証言が信用できるか否かにかかっていることが多いのです。

わいせつ事件で逮捕された場合

 先ほど述べた通り,強制性交等罪,強制わいせつ罪は親告罪ではなくなったので,被害者が訴えなくても捜査・逮捕・起訴が行えます。被害者が顔見知りで連絡先がわかるのであれば,示談する方法もあります。しかし,被害者感情を考えずに示談交渉をしようとすると,被害者を余計に傷つけてしまう可能性があります。
 そこで,示談したい場合は,弁護士に間に入ってもらい,双方の解決へと手助けをしてもらいましょう。
 示談は,相手との合意によって成立します。したがって,示談金の額も相手と交渉を経て,合意によって決まります。そのため,示談金の額は,示談をする当事者によって千差万別です。
 強制わいせつ事件では,示談金は50万円を上回ることが多いと言われています。これは,強制わいせつという行為が重大な犯罪であることが影響しています。しかし,弁護士が正しく対応すれば短期間で釈放され,不起訴になる可能性があります。わいせつ事件の対応で大事なのは,できるだけ早くトラブルを穏便に解決することです。警察が介入する前の早い段階で解決できれば,警察沙汰にならない,メディアで実名報道されないというメリットがあります。警察沙汰になってしまった後でも,相手と示談が成立すれば,不起訴処分になる可能性が高まります。不起訴になれば前科はつきません。
 万が一,逮捕に身に覚えがなく,誤認逮捕であったならば,できるだけ速やかに,弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に,逮捕されている警察署まで接見(面会)に来るよう依頼をして,冤罪である旨を伝えることで,弁護士が,今後の見通しや取調べ対応を検討し,早期の身柄解放,適切な無実主張のための働きかけを行うことができます。
 誤認逮捕事件では,疑いを晴らすために,弁護士を通じて独自の捜査を行い,目撃者の証言やその他の客観的証拠を積み上げ,被害者の証言が信用性に欠けることを説得的に主張することが肝心です。

まとめ

 今まで述べてきたように,今日多発している整体やマッサージ店でのわいせつ事件では,冤罪も含めて多くの場合刑罰が科されています。そのような事態にならないためにも,もちろんわいせつな行為をしないこと,そして冤罪に巻き込まれないようにわいせつと疑われるような行為はしないことが重要です。そして万が一自分が罪を犯してしまった,冤罪で逮捕されてしまった場合には,一刻も早く弁護士に相談しましょう。

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