職務質問で薬物が発覚したら弁護士に相談を|代表弁護士が解説
職務質問を受けたことがあります
職務質問を受けた経験のある方はいらっしゃるでしょうか。私は学生のときに一度あります。分倍河原で友達と散々飲んだ帰り道,深夜,人気のない路上を法律の議論を大きな声でしながら歩いていると,警察官が2名やってきて,そのあとパトカーもやってきて職務質問が始まりました。二人ともかなり酔っていたので,「何の用だ,俺たちは法学部の学生だ。警職法1条1項の不審事由があるのか!」と最初だけはかっこうつけていましたが,すぐに職務質問に従いました。
なんでも近くで事務所荒らしが発生し,目撃された犯人の人着が我々と似ていて,しかも二人とも大きなバッグを持っていたので職務質問をしたようでした。そのバッグの所持品検査までされ,バッグ内には司法試験の択一問題集しか入っていないのを確認して解放されました。ちなみにその友達は,今は偉い検察官幹部です。
本コラムは代表弁護士・中村勉が執筆いたしました。
全ての薬物犯罪は職務質問に始まる
職務質問は,これを受けた経験がない方でも「警察密着24時」などのテレビでもお馴染みですが,薬物犯罪検挙の最有力摘発手段です。薬物犯罪は,いわゆる「被害者のいない犯罪」ですので,犯罪発覚の端緒となるのは被害者通報ではありません。薬物犯罪発覚の端緒は,大きく分けて二つあり,路上での職務質問(空港での税関検査質問を含む)と芋づる式発覚です。芋づる式発覚とは,ある捜査対象者が,取調べの中で,入手先その他共犯者について供述したときに芋づる式にその共犯者が逮捕されるというケースです。この場合も最初の捜査対象者は,職務質問で逮捕されることが多いので,結局,全ての道はローマに通ずではありませんが,全ての薬物犯罪は職務質問に始まると言えそうです。
どのような場所や時間帯で職務質問が行われるのか
では,どのようなケースで職務質問に遭遇するのでしょうか。だいたいは,深夜,繁華街ないし繁華街からの帰路途上です。また薬物取引多発地域の情報も持っているのでそのような場所でも職務質問が頻繁に行われます。最近では,主婦に薬物犯罪が拡大しているので,情報を基に夜間住宅街でも職務質問が行われることもあります。
通勤時間帯や職場付近では職務質問にあうことはまずありません。警察にも検挙に関する点数制度があり,また強化月間もありますので,効率的に薬物犯罪検挙のための警邏活動を行うのです。
どのような挙動が職務質問の対象となるか
職務質問は,不審事由の存在が要件です。逮捕要件である「犯罪を行ったと思われる相当理由」よりもかなり緩やかな要件です。かと言って,顔が不審だからというだけでは要件を満たしません。地域課の警察官は職務質問の訓練を受けており,対象者の挙動を総合観察し,その場所や時間帯も併せ考慮して職務質問に入ります。例えば,夜間,繁華街でパトカーを見て急に進路を変更するような動きは不審事由ありとされます。深夜,繁華街周辺で,路上を男二人が歩いているだけでは不審事由にはなりませんが,制服警察官の姿を見て顔を伏せたとき,不審事由の萌芽があり,「気を付けて帰ってください」と警察官が声をかけたときに小走りに駆け出すと不審事由の存在を認め,「どちらの帰りですか?これからどちらへ行きますか?」などの職務質問が始まります。
統計によると,令和3年中の地域警察官による刑法犯検挙人員は,11万8,605人にも及び,警察による刑法犯の総検挙数の67.8%が職務質問から検挙されています(出典: 警視庁 生活安全の確保と犯罪捜査活動 86頁)。
職務質問から所持品検査へ
職務質問は,質問だけで終わることはまずありません。質問と関連する所持品があれば次はその所持品に関する質問へと移ります。
所持品がなくてもポケット内に関する質問に移ります。例えばこうです。「仕事の帰りですか。そのお持ちの鞄には仕事のものが入っているんですね。」この質問に対して「何が入っていようが関係ない」などと答えると,その所持品に不審事由が発生して,「ちょっと中を開いて見せていただけますか?」という質問が続くのです。
職務質問で薬物が見つかった後の手続きは?
こうして所持品の中から,あるいはポケット内から薬物が発見されました。この後どうなるのでしょう。職務質問による警察活動は,あらかじめ犯人を特定して逮捕状を用意して行う捜査と異なり,警察は令状などを準備しているわけではありません。そこでは任意で薬物検査を行い,その正式鑑定結果が出るまで自宅待機として一時帰され,「連絡があったら警察署に出頭するように」といわれます。身上関係は把握されますので,出頭に応じないと,捜索差押令状と逮捕状を持って5,6人の警察官が突然自宅にやってくることになります。
なお,簡易鑑定で陽性のこともあり,陰性のこともあります。陽性でもあくまで簡易鑑定ですからそれを基に逮捕されることはありません。正式鑑定結果が陰性ですと誤認逮捕になりかねないからです。
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職務質問から解放されたタイミングで弁護士に相談すべきです
薬物事案は,薬物の鑑定結果という抜き差しならない科学的証拠があるので,「やってないです」という弁解はほとんど通用しません。令和2年の覚せい剤取締法違反の起訴率は77.2%と半分以上が起訴されています。道交違反を除く特別法犯の起訴率は48.8%なので,覚せい剤取締法違反での起訴率が異様に高いことは明らかです。
薬物事案の捜査は,職務質問を含めて厳格な法令に従って行われなければならないものの,警察官の功を焦る熱心さのあまり,法令を逸脱する法執行になりがちなのです。もしこうした活動に違法性が認められれば,たとえ薬物鑑定結果という強力な証拠があっても無罪になるのです。
職務質問から始まる一連のプロセスについて,詳細を忘れてしまう前にいち早く弁護士にご相談ください。
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