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刑事判例紹介(24)

事案

暴力団による恐喝事件を被疑事件として捜索差押許可状の発付が要求された。捜索差押許可状には差し押さえるべき物を「本件に関係ある暴力団を標章する状、バッチ、メモ等…」と記されていたところ、警察官がこの許可状に基づき、賭博に関するメモ196枚をも差し押さえた。
公判廷において、被疑事実である恐喝事件と関係のない賭博事件に関する証拠物件を差押えることは認められないとして争われた。

判旨(最高裁昭和51年判決)

この記載物件は、右恐喝被疑事件が暴力団であるO連合O組に所属し又はこれと親交のある被疑者らによりその事実を背景として行われたというものであることを考慮するときは、O組の性格、被疑者らと同組との関係、事件の組織的背景などを解明するために必要な証拠として掲げられたものである…。そして、本件メモ…には、O組の組員らによる常習的な賭博場開張の模様が克明に記録されており、これにより被疑者…と同組との関係を知りうるばかりでなく、O組の組織内容と暴力団的性格を知ることができ、右被疑事件の証拠となるものであると認められる。

コメント

捜索差押許可状に基づき捜索差押えをする場合、許可状記載の物件が対象となるのは明らかですが、初期の捜査段階ではその対象が必ずしも明らかになっているとは言えません。そこで、いかなる範囲まで捜索差押えの対象となるかはしばしば問題となります。本件では、被疑事実が恐喝事件であったため、恐喝事件と直接的関連性を有する物件のみならず、間接的な関連性が認められる場合であっても捜索差押えの対象となるとしました。
被疑事実となっている恐喝事件が、暴力団関係者であることを示して行ったものである本件においては、事件の背景や情状を捉える上で関連性を認めることは許容されるといえます。しかし、実質的に本件捜索差押許可状が別件の捜査に用いられていると評価されるような場合であれば、本件判例とは結論を異にし、違法とされるでしょう。

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