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市川猿之助さんが自殺ほう助罪で逮捕 – 今後の刑事手続の行方は?

自殺ほう助罪で逮捕されたら今後の刑事手続の行方は?

令和5年6月27日、市川猿之助さんが自殺ほう助罪で逮捕されました。市川さんは、5月18日、自宅で両親と倒れているのが見つかり、両親と救急搬送され、両親は亡くなったことが報道されていました。
報道によりますと、市川さんが自身に処方されていた睡眠薬を用意するなどして母親の自殺をほう助した疑いで逮捕されたようです。
今後、刑事手続はどのように進んでいくのでしょうか。

身体拘束はどれだけ続くのか

逮捕されると、翌日か翌々日には検察庁に送検されます。
検察庁が10日間の身体拘束を継続する勾留を裁判官に請求すると、被疑者は裁判官の勾留質問を受け、勾留か釈放かが決まります。
勾留には、刑事訴訟法で逃亡と罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由が必要とされています。既に両親のご遺体の解剖や自宅の捜索など、必要な捜査が行われているはずで、市川さん自身が何らかの実効的な証拠隠滅に及ぶということは通常は考えにくいでしょう。検察官は、動機などについて関係者との口裏合わせの可能性があるとして勾留請求をするでしょうが、勾留要件を満たすかは微妙です。

著名人の市川さんによる逃亡も現実的ではなく、在宅で捜査が行われても何らおかしくない事案だといえるでしょう。
仮に裁判所が勾留を決定すると、検察官はその後に更に10日間の勾留延長を請求することができます。これが認められると、検察官は20日間の勾留期間内に、市川さんを起訴するか釈放するかを決めなければいけません。

もっとも、今回は母親の自殺に対するほう助のみで逮捕されていますので、この件では一旦釈放し、すぐにその日のうちに父親の自殺に対するほう助で再逮捕して更に捜査機関が身体拘束期間を長期化させる可能性もあります。

刑罰はどうなるのか

まだ市川さんは逮捕されただけですから、実際に自殺ほう助罪に当たる行為を行ったとは限りません。自殺ほう助罪は刑法202条で規定されています。
「人を教唆し若しくは幇助して自殺さえ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁固に処する。」という条文です。
幇助というのは、その行為を心理的ないし物理的に助けることと言われています。報道では市川さん自身も搬送されたようですから、一緒に自殺をしようとした場合に本罪の幇助に当たるのかといった点が、今後争点になっていくことが予想されます。
また、条文の文言から分かるように、自殺ほう助罪は、他人からお願いされたり承諾を得てその人を殺す承諾殺人罪と一緒に規定され、同じ法定刑が定められています。
もっとも、道具を用意したり心理的に助けたりして自殺を推し進めた場合と、承諾があるとはいえ実際に自分の手で人を殺してしまう場合では、非難の程度にかなりの差が生じるというのは誰しも感じるところではないでしょうか。仮に市川さんが起訴されて有罪となるとしても、上記の法定刑の中では比較的軽い量刑が定められ、執行猶予が付く可能性もあり得ると考えられます。

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経験豊富な弁護士がスピード対応

刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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