ウィンターインターン 参加者感想文 S.Nさん(2017年)(京都ロー在籍)
1月16日,17日の二日間,NICDウィンターインターンに参加させていただきました。刑事弁護士に憧れ法科大学院進学を決意した私は,インターンへの応募を全くためらいませんでした。そして,幸運にも,インターンシップは,大変貴重な経験となりました。その中で特に印象に残ったことをいくつか記したいと思います。
刑事弁護は,大変やりがいのある仕事です
初日は,公判前整理手続に付され争点整理がされている最中の事件の記録を読んだ上で,争点である刑法上の論点についての意見書を起案するアサインがありました。検察官の反論を踏まえた上で,弁護人の主張を説得的に組み立てる課題でした。講評をして下さった先生の言葉の中で印象に残ったのは,刑事弁護人は,必ずしも判例の立場から予想される結論をとる必要はないということです。裁判所がとるであろう立場に盲従しがちな受験生の意識では,刑事弁護人は絶対に務まらない。指導してくださった先生は,暗に,そういったことを伝えてくださったように思いました。
被告人側に厳しいと言われるわが国の刑事裁判で,裁判所を説得することは容易ではないかもしれません。しかし,そうだからこそ,依頼者を救うため,NICDの先生方は日々の研鑽を惜しまれることがありません。巨大権力に全力で立ち向かう刑事弁護のやりがいを,NICDの先生方は私に確信させてくれました。
NICDは,活き活きとしたプロの集団です
刑事事件には,身体拘束に厳格な期限があるため,NICDの弁護士の先生方は常に忙しくされています。依頼者の状況に応じた適切,迅速な判断ができなければ,取り返しがつかなくなりかねない緊張感が隣からひしひしと伝わってきます。示談交渉,接見,身体拘束の解放活動,公判活動すべてにおいて,スピードが生命線です。
しかし,NICDの活き活きとした雰囲気は本当にそれだけが理由なのでしょうか。時には激しく捜査機関とやり合い,時には被害者から激しく罵倒され,時には夜を徹して尋問を作成することが要求されるのが刑事弁護の世界です。多大なストレスともなりかねない活動に,凡人の私が耐えることはできるのか。そんな疑問が,心の中にずっとありました。
NICDでは,このような心配は全くの杞憂でした。2日間通じて感じたのは,NICDは若々しい活力に溢れており,ストレスなど一切ないということです。事務所の電話は鳴り止むことがなく,毎日新たな事件が舞い込み,刺激に満ちています。事件は二つとして同じものはなく,どれもやりがいのあるものばかりです。何よりも,NICDの弁護士の先生方は,常に明るく活動的で,皆さんが仕事を楽しんでおられることが,一番の特徴です。依頼者を一刻も早く自由にするため全力を尽くす。弁護士の先生方全員がこの一つの価値を共有していることが,NICDの魅力であり,活き活きとした雰囲気が生み出される所以であることに間違いありません。
NICDをNICDたらしめる底知れない活力に触れられたことは,私にとって大きな財産となりました。いつかこの刑事弁護の戦場であるNICDで,中村先生をはじめとする先生方と共に戦いたいという気持ちが,自然に心に湧き上がった二日間でした。本当にありがとうございました。