極めて少量の覚せい剤を持っていた場合でも,覚せい剤の所持罪で起訴されますか。
所持していた覚せい剤の量が極めて少量であっても,覚せい剤の所持罪が成立するとされることが多いでしょう。
違法薬物の所持罪における「所持」とは,「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」(最大判昭24年5月18日刑集3巻6号796頁等)をいうとされています。
そのため,肉眼で確認できないほど微量な場合や,他の物に混入するなどして社会通念上回収が困難な場合など,所持の事実ないし故意の認定が困難な場合を除いて,微量であっても所持罪が認められ,起訴されるケースも多いといえます。
判例の中には,0.003グラムの覚せい剤の結晶の所持について所持罪を認めたケース(東京地判昭和52年2月1日麻薬等裁判例集281頁)や,0.0068グラムの覚せい剤粉末の所持について所持罪を認めたケース(東京高判昭54年4月11日高検速報2653)などがあります。