覚せい剤の自己使用罪で一度執行猶予付きの有罪判決を受けた後,もう一度執行猶予付きの判決を得ることは難しいですか。
刑法では,前刑の終了後から5年以上経過した場合(刑法第25条1項2号)又は前に刑の全部の執行猶予付判決を受けた者が1年以下の懲役又は禁固の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがある場合(同条2項),覚せい剤事犯の前科がある事案においても執行猶予を付すことができるとされています。
しかしながら,実務上,覚せい剤の自己使用罪の同種再犯の事案では,前回の執行猶予付きの有罪判決から相当長期間経過していなければ,再び執行猶予付きの判決を獲得することは困難と言わざるを得ません。
一般的には,前回の判決から10年以上経過した場合に,執行猶予付きの判決の可能性が高くなる傾向があると言われています(小森榮「もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術」現代人文社2012年)。