過失致死|過失致死とは何か,殺人との違い等について弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

過失致死|過失致死とは何か,殺人との違い等について弁護士が解説

刑事弁護コラム 過失致死|過失致死とは何か,殺人との違い等について弁護士が解説

過失致死|過失致死とは何か,殺人との違い等について弁護士が解説

 人はしばしば不注意によって過ちを犯してしまいます。時には,その過ちによって人の死亡という重大な結果を引き起こしてしまうこともあります。このように不注意によって人の死亡という結果を発生した場合に,成立する犯罪が過失致死罪です。
 ところで,過失致死罪は,過失の程度や種類によって,成立する犯罪やそこで科される刑の重さが大きく異なります。過失致死罪は,テレビのニュースなどでよく目にする犯罪の1つかと思います。
 しかし,どういった場合に過失致死罪が成立し,どういった刑が科されるのかについては,知らない方も多いのではないでしょうか。以下では,過失致死罪の類型や殺人との違い等について解説していきます。

過失致死の「過失」とは

 「過失」とは,注意義務に違反すること,つまり,不注意を意味します。
 したがって,不注意な行為によって,人を死亡させてしまった場合には,過失致死罪が成立することになります。

過失致死罪

 まず,過失致死罪について説明いたします。条文が規定する内容は以下のとおりです。

刑法第210条

 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。

 過失致死罪とは,不注意によって,人を死亡させた場合に成立する犯罪です。前記の条文からわかるように,過失致死罪には懲役刑がありません。
 つまり,有罪判決が下されたとしても,基本的には罰金刑に処されることになるでしょう。

重過失致死傷罪

 重過失致死傷罪について説明いたします。条文が規定する内容は以下のとおりです。

刑法第211条

 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 この犯罪は,「重大な過失」がある場合に成立する犯罪で,前記条文からわかるように,実刑を含む過失致死罪よりは重い処罰が法定されています。
 またここでいう「重大な過失」とは,裁判例によれば,「注意義務違反の程度が著しい場合をいい,発生した結果の重大性,結果発生の可能性が大であったことは必ずしも必要としない。」(東京高判昭57.8.10)と解されています。
 本罪が適用される例はそれほど多くはないと思いますが,「自転車をふざけて乗ったまま赤信号を見落とし歩行者に突っ込み負傷させた」等の事例で適用されています。

業務上過失致死罪

 業務上過失致死罪について説明いたします。条文が規定する内容は前記のとおりです。
 ここでいう「業務」とは,「本来人が社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う行為であって,他人の生命・身体等に危害を加えるおそれのあるもの」(最判昭33.4.18)を意味します。
 「業務」を行っている者は,それだけ他人の生命・身体に危害を加えやすい立場にありますから,高度の注意義務を要求されており,通常の過失致死罪より重い法定刑が定められていることに注意が必要です。
 また,ここでいう「業務」にあたるかどうかは,その活動が営利目的で行われていたかどうかや適法であったかどうかは問題になりません。ですので,ご自身の過失が,本当に「業務」上の過失にあたるのか疑問に思った方は,是非一度弁護士に相談してみてください。

自動車運転過失致死罪

 自動車運転過失致死罪について説明いたします。条文が規定する内容は以下のとおりです。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条

 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

 自動車運転過失致死罪は,ニュースなどで耳にされたこともあるのではないでしょうか。ちょっとした過失から,重大な事故が起こってしまうことは少なくなく,ある日突然事件の当事者になってしまうこともあると思います。
 そして,ちょっとした過失であったとしても,人の死亡という重大な結果が生じていますので,仮に起訴された場合には重い刑が科されることも考えられます。
 ですので,自身に過失があったかどうかにかかわらず,早期に一度弁護に相談をし,アドバイスをうけることが必要になるでしょう。

危険運転致死傷罪

 危険運転致死傷罪について説明いたします。条文が規定する内容は以下のとおりです。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条

 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
 一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
 二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
 三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
 四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
 五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
 六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 危険運転致傷罪は,平成13年の刑法改正により追加された犯罪であり,犯罪類型としては比較的新しいものであるといえます。
 しかしながら,罰則が極めて重いですから,対応を誤ると長期の懲役刑という重い処分を受ける可能性があります。ですので,危険運転致死傷罪で疑われてしまった場合には,早期に弁護士に相談・依頼をし,ケースに応じて適切に対応し,執行猶予判決を目指していくべきでしょう。

過失致死と殺人罪の違い

 過失致死と殺人罪の違いについて説明いたします。殺人罪について条文が規定する内容は,以下のとおりです。

刑法第199条

 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以下の懲役に処する。

 過失致死と殺人罪の違いは,その人に人を殺す意思,つまり殺意があったかどうかにあります。死亡という結果が発生したからといって,直ちに殺人罪として処罰される訳ではありません。死亡という結果が発生しても,人を殺す意思なく,不注意によりその結果が生じた場合には,過失致死罪として処罰されることになるのです。
 しかし,ここでいう殺意の意味については,注意が必要です。単に人を殺すことを認識,認容していただけで,殺人罪の故意は認められることになります。そして,故意については,本人の取り調べ時の供述がとても重要になってきます。ですので,早期に弁護士に相談,依頼をし,適切なアドバイスを受ける必要があるでしょう。

過失致死で無罪や執行猶予判決となる可能性

 確かに,過失致死罪においては,人の死亡という極めて重大な結果が生じていますので,重い刑が科されることが予想されます。
 しかしながら,これまで解説してきましたように,過失の程度や種類によって,犯罪の種類や科される刑の重さが変わりますので,過失の程度によっては,罰金刑や執行猶予付き判決も十分に見込まれます。
 したがって,捜査段階においては,自身の主張をしっかりと警察や検察側に伝え,適切に自身の過失の程度等を把握してもらう必要があります。
 そして,このような主張を適切に行っていくためには,経験豊富な弁護士のアドバイスを受けることが必要不可欠になるでしょう。
 また,罰金刑や執行猶予判決を獲得するためには,被害者と示談をすることが効果的です。しかし,被害者は,加害者に対して,負の感情をもっている方が多いですから,加害者の方自身で示談交渉を進めていくことはかなり難しいでしょう。そして被害者は,加害者と直接交渉することも拒絶することも多いですから,弁護士を立てて示談交渉を進めていく必要があるでしょう。

まとめ

 過失致死罪で疑われてしまった場合には,早期に示談交渉に着手し,取調べに対するアドバイスを受けることが有用ですから,早期に弁護士に相談して,弁護活動を進めてもらうべきでしょう。

Pocket

「過失致死」に関する刑事弁護コラム

tel mail