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賭博罪で逮捕されたら?弁護士が解説

近年、芸能人、プロ野球選手やバトミントン選手の賭博問題のニュースにより、賭博罪という言葉を耳にする機会は多いと思います。

また、平成30年7月20日には、いわゆるIR整備法が成立し、この法律が施行されることにより、これまで刑法の賭博罪にあたるとして禁止されていたカジノの国内設置が認められることになりました。このように、ニュース等で賭博罪という言葉を聞く機会は多いと思いますが、どのような行為が賭博罪の対象になるかを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

更に、宝くじ・競馬・パチンコ等や今回成立したIR整備法でのカジノと賭博罪との関係を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。そこで、賭博罪について、その内容、対象、宝くじ等やIR整備法との関係について詳しく説明します。

賭博罪とは

賭博は、賭博罪として刑法第185条で以下のように規定されています。

刑法第185条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

賭博が賭博罪として規定されている理由として、判例は、「国民に怠惰で浪費な風潮を生じさせること」「勤労の美風を害すること」「暴行、脅迫、殺傷などの副次的犯罪を誘発すること」「国民経済に重大な障害を与えるおそれがあること」などを挙げています。

「賭博」について

「賭博」とは、偶然の勝敗によって、財物等の得喪を2人以上の者が争うことをいいます。つまり、賭博とは、簡単にいえば、偶然の要素がある遊戯について、金品を賭けて勝敗を争うことをいいます。賭博は、勝敗を争うものであるため、当事者の双方にとってリスクがあることが前提となります。具体的には、参加費が無料であるビンゴ大会やゴルフコンペ等は、主催者にのみリスクがあるため、「賭博」にはあたらないと考えられます。

遊戯によっては、技術により、ある程度勝敗が判断できるものもあるため、偶然の要素がない場合には、「賭博」に該当せず、賭博罪にあたらないようにも思えます。しかし、囲碁・将棋・麻雀が「賭博」にあたるとした裁判例があり、体調等により偶然の要素があると認められれば、「賭博」であると判断される可能性があります。

一時の娯楽に供する物について

上述した刑法第185条の賭博罪をみると、一時の娯楽に供する物を賭けた場合には、賭博罪の対象とはならないと規定されています。「一時の娯楽に供する物」とは、一般的に、食料品などの一時的に消費される物をいいます。一時的に消費される物であるかどうかは、賭けの対象の価格の高低、現金であるか否か等で判断されます。
具体的には、食べ物・飲み物・煙草等を賭ける場合には、賭博罪の対象となる可能性は低いと考えられます。他方で、判例によれば、少額であっても金銭はその性質上「一時の娯楽に供する物」にあたらず、賭博罪の対象となるとされています。

賭博罪の種類

単純賭博罪

単純賭博罪とは、上述した刑法第185条で規定されている類型です。「賭博」行為を行い、賭けの対象が「一時の娯楽に供する物」でない場合には、単純賭博罪に問われる可能性があります。上述したように、「賭博」とは、偶然の勝敗によって、財物等の得喪を2人以上の者が争うことをいいます。
「一時の娯楽に供する物」とは、食料品などの一時的に消費される物をいうため、お菓子等が賭けの対象である場合には、賭博罪に問われません。なお、単純賭博罪の刑罰は、50万円以下の罰金または科料であり、懲役刑は規定されていません。

常習賭博罪

常習賭博罪は、刑法第186条第1項で以下のように規定されています。

刑法第186条第1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

常習賭博罪とは、常習的に賭博をした場合に成立します。賭博の常習者とは、賭博を反復・累行する習癖のある者を指します。常習性については、賭博の種類や賭金の大小等で判断されるため、1回限りの賭博であっても、常習性があると判断される可能性があります。常習賭博罪は、単純賭博罪とは異なり、懲役刑が科されることになります。

賭博場開帳等図利罪

賭博場開帳等図利罪は、刑法第186条第2項で以下のように規定されています。

刑法第186条第2項
賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

賭博場開帳等図利罪は、賭博場を開帳した場合等に成立します。「賭博場を開帳」とは、犯人自ら主催者となって、その支配下において賭博をする場所を開いて運営したり、賭博を行う人を集めたりする行為をいいます。具体的には、裏カジノ(闇カジノ)・裏スロット等を運営する場合には、賭博場開帳等図利罪が成立します。

組織犯罪処罰法

組織的に賭博を行ったり、賭博場を開帳したりした場合には、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(組織犯罪処罰法)第3条1項5号、6号にあたります。

組織犯罪処罰法第3条第1項
次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
第5号 刑法第186条第1項(常習賭博)の罪 五年以下の懲役
第6号 刑法第186条第2項(賭博場開帳等図利)の罪 三月以上七年以下の懲役」

賭博罪の対象となる行為

「賭博」とは、偶然の要素がある遊戯について、金品を賭けて勝敗を争うことをいいます。したがって、金銭を賭博の対象とした場合には、少額でも賭博罪の対象となります。また、能力や技術等により勝敗が左右されるものについても、賭博罪が成立する可能性があります。もっとも、金銭が少額である場合には、単純賭博罪の量刑が罰金刑しか規定されていないことから、身内での少額の賭博行為は検挙されない可能性があります。

野球賭博

プロ野球の試合の結果を賭けの対象として金銭を賭けた場合にも、賭博罪が成立します。スポーツは、スポーツ選手の能力や技術によって勝敗が左右されますが、選手の体調や運等によっても結果が左右されるため、偶然の要素があり、「賭博」にあたるとされています。

賭け麻雀

雀荘等で金銭を賭けた麻雀を行う場合にも、賭博罪が成立します。麻雀は、参加者の技量や能力によって勝敗が左右されますが、運によって勝敗が左右されるため、偶然の要素があり、「賭博」にあたるとされています。また、賭け麻雀は、後述のような公営競技やパチンコ店とは異なり、合法的に賭博を認められていないため、賭博罪が成立します。

賭け花札

花札で金銭を賭けた場合にも、賭博罪が成立します。花札の場合にも麻雀と同様に、参加者の技量や能力によって勝敗が左右されますが、運によって勝敗が左右されるため、偶然の要素があり、「賭博」にあたるとされています。

宝くじ・公営競技(競馬・競艇等)・パチンコの類について

宝くじ・公営競技・パチンコの類も、偶然の要素がある遊戯について金銭を賭けて勝敗を争っているため、「賭博」に該当するように思えます。しかし、宝くじ・公営競技・パチンコの類は、以下の法律によって合法的に賭博が認められているため、賭博罪の対象とはなりません。また、宝くじや公営競技は、収益事業として、国や市町村の重要な収益源となっています。

宝くじ

宝くじ等(宝くじやサッカーくじのtoto等)は、公営くじとして「当せん金付証票法」によって合法性が認められているため、賭博罪に該当しません。

競馬・競艇・競輪等

競馬・競艇・競輪等の公営競技については、競馬法、モーターボート競走法、自転車競技法等によって合法性が認められています。

パチンコ

パチンコ店は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」(通称、風営法)により営業することを認められていますが、風営法は、金銭や有価証券等を商品として提供することを禁止しています。また、風営法第23条は、客に提供した商品を遊戯場の営業者が買い取ることを禁止しています。
そこで、パチンコ店は、「三店方式」と呼ばれる営業形態によって、賭博罪の成立を回避しています。
三店方式とは、客がパチンコ店において出玉を景品と交換し、交換した景品を別法人である景品交換所で換金した後、問屋が景品交換所から景品を買い取りパチンコ店に景品を卸すという形態をいいます。

お年玉付郵便はがき

お年玉付郵便はがきについては、「お年玉付郵便葉書等に関する法律」によって合法性が認められています。

賭博罪とIR整備法の関係

IR整備法は、上述のように、平成30年7月20日に成立しており、今後施行されることにより、カジノの国内設置を認めたものです。カジノとは、一般的に、ルーレットやカードゲーム、スロット等を設置した賭博場をいいます。カジノが合法化されるためには、刑法の賭博罪及び賭博場開帳罪との関係を検討することが必要となります。そこで、IR整備法について、ポイントを示した上で、賭博罪との関係を説明します。

IR整備法とは

IR整備法のIRとは、「Integrated Resort」の頭文字を取ったものであり、日本語訳すると「統合型のリゾート」です。統合型のリゾートとは、国際会議場、宿泊施設、レストランやショッピングモール等を統合的に整備したリゾート施設のことです。つまり、IR整備法は、カジノの国内解禁のみを規定したものではなく、「統合型のリゾート」を整備するための法律です。

海外の統合型リゾートの多くは、施設の一部であるカジノの収益によって、施設全体の運営の大部分を賄っていることから、日本政府もカジノの収益によって、統合型リゾート施設の運営を賄うことを期待しているといえます。

カジノの単独設置について

IR整備法は、カジノの国内設置を認めたものですが、カジノを単独設置することまでを認めたものではありません。IR整備法は、統合型のリゾート施設の一部としての設置に限定して、カジノの設置を許容したにすぎず、国際会議場、宿泊施設等を中核施設として設置することを義務付けています。また、統合型リゾート施設の設置は、全国で最大3カ所とされ、カジノの面積に対する制限や上限値の設定等があります。

カジノについて

IR整備法では、ギャンブル依存症をはじめとする弊害を防止するための予防策として、日本人客等のカジノ入場は、週3回、月10回まで等とされ、入場料に関する規定も設けられています。また、カジノに入場するためには、マイナンバーカード等による本人確認を要し、本人や家族申告による入場規制も規定されています。

賭博罪とカジノの関係

賭博行為は、上述のように、賭博罪として刑法で禁止されています。宝くじや公営競技は、特別法により、「法令行為」(刑法第35条)として、合法的に認められています。一方で、IR整備法により設置される統合型リゾート施設は、民間事業者が設置及び運営するものです(IR整備法第2条1項)。
しかし、IR整備法により設置されるカジノは、民間事業者が設置するものです。そこで、これについても「法令行為」といえるかが問題になります。

政府の説明

政府は、①目的の公益性運営主体等の性格収益の扱い射幸性の程度運営主体の廉潔性運営主体の公的管理監督運営主体の財政的健全性副次的弊害の防止を考慮要素とした上で、刑法の賭博罪との整合性は図られているため、カジノの設置は合法的に認められるとしています。

  1. 目的の公益性
  2. カジノ収益の内部還元によるIR区域の整備を通じた観光振興やカジノ収益の社会還元を通じた公益の実現を図る。

  3. 運営主体の性格
  4. IR事業者のみならず、関連資産の所有者や融資関係者等、カジノに関係する者は全て厳格な公的管理・監督の下に置かれる。

  5. 収益の扱い
  6. カジノ収益の内部還元によるIR区域の整備を通じた観光振興や、カジノ収益に納付金を賦課し、入場者に入場金を賦課することにより、社会還元を通じた公益の実現を図る。

  7. 射幸性の程度
  8. カジノ施設数や面積を制限し、入場回数制限等を行う。

  9. 運営主体の廉潔性
  10. カジノ事業を免許制とし、事業者や関係者の廉潔性を確保する。

  11. 運営主体の公的管理監督
  12. カジノ管理委員会によるカジノ事業の監視監督と主務大臣・認定都道府県によるIR事業全体の規制・監督を厳格に行う。

  13. 運営主体の財政的健全性
  14. カジノ事業免許の申請において、事業者の財政的健全性を審査事項とし、内部管理体制の整備を行う。

  15. 副次的弊害の防止
  16. 入場回数の制限やマイナンバーカードでの本人確認により、重層的多段階的な依存防止対策を講じ、マネーロンダリング対策を講じる。

政府は上記のような理由付けで、カジノの合法性を認めています。

賭博罪で逮捕された事例

元プロ野球選手が賭博開帳図利幇助容疑で逮捕された事例

平成26年4月29日、プロ野球選手が同僚に対して、プロ野球試合等の賭博の申込みを仲介するなどして、賭博行為を手助けしたとして、賭博開帳図利幇助の疑いで逮捕された事例
懲役1年2ヶ月執行猶予4年(東京地判平成28年10月5日)

全国チェーン雀荘の社長らが賭博開帳図利の疑いで逮捕された事例

平成24年5月、チェーン雀荘の社長らが各店に対し、賭け麻雀を指示して、場所代名目で正規料金とは異なる場所代を徴収したとして、賭博開帳図利の疑いで逮捕した事例。

闘鶏賭博を開いた疑いで逮捕された事例

平成23年10月31日、自宅横の倉庫でシャモを使った闘鶏賭博を開いたとして、賭博開帳図利の疑いで逮捕された事例。

漫画家が賭け麻雀による賭博罪で現行犯逮捕された事例

平成21年11月20日、漫画家が麻雀店において、1000点200円のレートで賭け麻雀を行い、賭博の現行犯で逮捕された事例。

賭博罪で逮捕されたら

平成28年度において、賭博罪の起訴率は55.1%であり、起訴猶予率は43.9%となっており、起訴の合計は402件であるのに対して、不起訴の合計は328件であるため、不起訴となる可能性は十分に考えられます。なお、平成27年度においては、起訴率は46.8%となっています。

逮捕されてしまった段階

検察に送致される前の段階では、微罪処分を目指すことになります。微罪処分とは、被害が軽微な犯罪である場合に、警察の裁量により、その後の刑事手続を行わずに釈放する処分を言います。賭博罪の場合、示談をすることはできませんが、反省の態度、賭博行為との訣別、家族のサポートを十分に示すことにより、微罪処分になることも十分考えられます。

検察に送致・勾留されてしまった段階

勾留とは、刑事訴訟法第208条に規定されており、最長で20日間の長期拘束のことを言います。検察に送致された場合には、不起訴処分を目指すことになります。賭博の内容、賭額等が軽微であり、前科・前歴がない場合には、反省している態度を示すことで起訴猶予・不起訴処分となることも十分考えられます。

起訴される可能性が高い場合

検察官に起訴される可能性が高い場合には、略式手続を目指すことになります。略式手続になる場合には、罰金刑となり、公判手続を経ることがないため、被告人に対する負担は少ないと言えます。単純賭博罪の量刑は、50万円以下の罰金または科料であるため、略式手続きになる可能性が十分に考えられます。

略式手続を目指す場合には、事実を認めた上で反省の態度を示す必要があります。もっとも、略式手続は、公判手続を経ないことから一定の制約があるため、慎重に判断する必要があると言えます。
通常の裁判手続になる場合には、執行猶予となることを目指すことになります。通常の裁判において、反省の態度、賭博仲間との訣別、家族の支え等を示すことにより、執行猶予となる可能性が十分考えられます。

まとめ

賭博は、組織的に行われている場合だけでなく、雀荘等の賭博場で遊んでいた場合であっても、思いがけず現行犯逮捕されてしまう可能性がある犯罪です。現行犯逮捕されてしまった場合に、初期の対応を誤ると身体拘束が長期化してしまい、日常生活に支障が生じる可能性が十分に考えられます。

また、常習賭博罪に問われると懲役刑という重い処罰を受ける可能性もあります。そのため、賭博罪で逮捕されてしまった場合には、自分の置かれている状況を冷静に把握して、適切な対応を慎重に判断する必要があります。

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