一審弁護人は,私の弁解を十分に聞いてくれず,裁判で私の弁解を主張してくれませんでした。控訴審で改めて私の弁解を主張することは可能ですか。
基本的には,控訴審において新たな主張をすることは困難です。なぜならば,日本における刑事訴訟の控訴審の構造が,第一審の裁判が正しかったのかを振り返るという「事後審」制が取られているからです(ちなみに,日本における民事訴訟の控訴審の構造は,第一審の裁判の続きであるという「続審」制が取られており,控訴審において新たな主張をすることが可能です)。
もっとも,第一審で証拠について取り調べを請求できなかったことについて「やむを得ない事由」がある場合で,この証拠により証明できる事実が量刑不当・事実誤認の控訴理由にあたると信じるに足りる場合には,この限りではありません(刑事訴訟法第382条の2)。第一審判決を経て,控訴すべきか悩んだ場合には,上記の点を含め,弁護士に相談してみましょう。