執行猶予中に再犯をしましたが,判決日にはもう執行猶予期間を満了していました。この場合でも執行猶予は取り消されますか。
この点について刑法は,「猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ,その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」に「刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない」としています(26条1号,柱書)。この「処せられ」とは言い渡された判決が確定したことをいうとされている(最決昭和54年3月27日)ので,再犯によって執行猶予が取り消されるかどうかは,その再犯による刑が確定した時点を基準に考えます。
よって,執行猶予中に再犯をしても,判決日に既に執行猶予期間が満了していれば,当然その判決の確定は執行猶予期間満了後ですから,執行猶予は取り消されません。ただし,そうした場合,再犯に対して実刑判決が下る可能性が相当にあることを忘れてはなりません。