被害者が示談に応じることのメリットとデメリットを教えてください。
被害者の方が示談に応じることのメリットは,速やかに損害の賠償を受けることができるという点です。
被害者の方が,犯罪行為によって受けた損害について金銭的な補償を受けるための方法は,一般に,被疑者・被告人側から任意の支払いを受ける,被疑者が起訴されて刑事裁判になった場合に損害賠償命令制度を利用して賠償の決定を得る(ただし,民事訴訟に移行する場合があります。),最初から民事訴訟を提起して勝訴判決を得るの3つがあります。
このうち,1については,刑事手続終了後に被疑者・被告人側に任意の支払いを求めたとしても,被疑者・被告人側が支払いによって刑事手続上のメリットを得ることができないため,任意の支払いが期待できない可能性が高いでしょう。
また,2および3の方法は,被疑者・被告人側に財産がなければ,決定や判決を得て強制執行をしても空振りに終わってしまう可能性があります(2や3に限らず,そのリスクは常にありますが)。
そこで,被疑者・被告人が刑事手続において刑事処分の回避又は軽減を望んでいるタイミングで,被疑者・被告人との示談交渉に応じることにより,速やかな支払いを受けられる可能性が高まります。
一方で,示談交渉に応じることのデメリットは,金銭の受け取りと引き換えに,被疑者・被告人が不起訴となる場合や,刑事裁判になった際には量刑が下がる場合があるということです。
示談に応じる場合には,被疑者・被告人の刑事処分に影響が生じることに注意する必要があります。