保護観察とは何でしょうか、また少年院はどのようなところでしょうか。
保護観察および少年院(送致)は、いずれも「非行」を行った(犯罪にあたる行為をした)少年に対する処遇方法(矯正措置)の一つであり、家庭裁判所において「強制的に更生させる必要性がある」と判断された場合に実施が決定されるものです。逆に、強制的措置が必要ない、と判断された場合には「審判不開始」あるいは「不処分」という決定が下されます。
まず、保護観察とは、非行を行った少年の中でも、問題の程度が比較的軽い場合に行われるものです。この措置の主たる特色は、あくまでも「社会内での処遇」を主眼に据えている点です。
すなわち、この矯正措置は少年院をはじめとする施設への収容を前提とせず、在宅のかたちで行われることになるのです。保護観察の実施の主体となるのは、法務省の機関の一つである保護観察所に所属する保護観察官(心理学、カウンセリングに精通し、少年が健全な社会生活を送ることができるようにサポートするもの)と、法務省から委託を受けた民間篤志家である「保護司」と呼ばれる人たちです。
保護観察期間中は、自宅にいながらも「遵守事項」というルールを守りながら生活し、一定の頻度で保護観察官および保護司それぞれから面接を受けることを課されます。
また、時としてボランティア活動等への参加を求められることもあります。保護観察の機関はおおよそ2年ですが、経過が好ましければ繰り上げて終了することもあり、他方、好ましくない点が多く見受けられる場合には、改めて施設への収容(少年院送致)が検討されることもあります。
次に、少年院(送致)とは、基本的に、行った非行が重大あるいは度重なったものである場合に決定される措置です。少年院というと、ともすれば「少年用監獄」のようなイメージがありますが、刑務所が「刑罰を与える施設」であるのに対し、少年院はあくまでも「少年の更生(立ち直り)」を目的とする施設です。従って、その本質は全寮制の「学校」に似たものと言えるでしょう。
少年院には複数の種類(1種、2種、3種など)が存在し、それぞれ入院中に実施される矯正・教育プログラムが異なるものになっています。入院期間も施設によって様々であり、短くて半年、長くて2年程といったところになります。こうした多種多様な少年院のうち、送致の対象となった少年にとって最もふさわしい処遇を行う施設が選択されることになります。少年院においては、「法務教官」と呼ばれるやはり心理学の専門家が矯正実施の主体となります。
なお、少年院とは別に「少年刑務所」という施設もありますが、こちらがいわゆる「少年用監獄」にあたります。もっとも、通常の刑務所(成人向け刑務所)とはいくらか趣を異にし、やはり刑罰よりも更生および教育に重点が置かれるところとなっています。少年刑務所に入所する可能性があるのは、家裁において「検察官送致」の決定を受けた少年のみであり、社会的かつ具体的に相当重大な非行を行った場合に限られます。