執行猶予の期間はいつから計算されますか。罪は認め,判決には不服はないのですが,少しでも早く執行猶予期間が始まるようにしたいのですが,何か方法はありますか。
刑の全部の執行猶予が取り消されることなくその猶予期間を経過すると,刑の言渡しは効力を失い(刑法第27条),要するに刑務所に行かなくて済むことになりますが,その期間は,(判決言渡日ではなく)裁判確定日から計算されます(同法第25条1項)。上訴できる判決の確定日は,通常,言渡日(の翌日)から計算して上訴提起期間である14日が経過した後であり(言渡日が令和2年1月1日の場合,同月16日になった瞬間に確定。刑事訴訟法第358条,55条,373条,414条),執行猶予期間はその確定日(上記の場合,同月16日の当日)から計算され(同法第55条),執行猶予期間が3年ならその経過(上記の場合,令和5年1月15日の経過を待って(すなわち同月16日になった瞬間に)執行猶予期間が満了します。
しかし,この上訴権は,放棄することが出来ます(同法第359条ないし360条の3)から,上訴権を放棄する旨の書面を言渡裁判所に提出し,検察官も同様に書面を提出すれば,双方の書面が同裁判所に到達した瞬間に判決は確定し,その日(の翌日)から執行猶予期間が開始することになり,少しでも執行猶予期間の満了を早めることが可能です。