テレビやインターネットで芸能人や著名人が賭博問題で報道されているのを見ると、ご自身の行為が刑事罰の対象となるか不安になられるのは当然のことかと存じます。日本の刑法では、偶然の勝敗によって財物等の得喪を2人以上の者が争うことを「賭博」として、原則として禁止しています。
このため、オンラインカジノの利用が日本の法律に違反する賭博行為に該当すると判断された場合、一般市民であっても刑事事件として捜査対象となり、逮捕される可能性はあります。
オンラインカジノに関連する逮捕事例
オンラインのギャンブルに関わる事案で逮捕された事例は複数存在します。例えば、誤送金された多額の現金を複数のネットカジノで全て使ったとされる男性が、電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕された事例が報じられています。この事例は詐欺罪という別の罪での立件ですが、オンラインのサービス利用に関連して逮捕されるケースがあることを示しています。
著名人が報道されやすい理由
特に芸能人や公務員、大学教授、医師、弁護士など、社会的な信用や地位が高いと考えられる職業に就いている人が事件を起こした場合、事案の軽重にかかわらず、世間の注目を浴びやすく、報道される可能性が高い傾向があります。
公務員の場合、一般市民であれば逮捕されないような事案であっても、国民の信頼維持という正義秩序の観点から厳正に対処される(逮捕や起訴される)ケースが多く見られます。
賭博罪の定義と刑罰の重さ
オンラインカジノの利用に適用される可能性のある賭博罪には、主に「単純賭博罪」と「常習賭博罪」の二種類があります。
単純賭博罪
たまたま誘われて行ってしまったなど、賭博に対する常習性がない場合に適用されます。
- 法定刑: 50万円以下の罰金または科料(1,000円以上1万円未満)に処されます。拘禁刑は規定されていません。
- 「一時の娯楽に供する物」との関係: 刑法第185条では、「一時の娯楽に供する物」を賭けたにとどまるときは処罰されないとされています。これは食料品などの一時的に消費される物を指します。
- 金銭の場合: 判例では、金額の大小にかかわらず、金銭はその性質上「一時の娯楽に供する物」には当たらないとして、単純賭博罪の成立を認めています。
常習賭博罪
賭博を反復累行する習癖があると認められた場合に成立します。
- 法定刑: 3年以下の拘禁刑に処されます。
- 常習性の認定: 賭博罪での前科・前歴がなくても、繰り返し賭博をする習癖が認められれば、常習賭博罪が適用される可能性があるため、注意が必要です。この罪が適用される場合、単純賭博罪とは異なり、拘禁刑が科されることになります。
賭博罪の検挙と不起訴の可能性
賭博罪は、密室で行われることが多く立件が比較的難しい犯罪であり、捜査は一般的に現行犯を狙う傾向があります。警察は内偵捜査を行い、令状を得て現場に踏み込むなどの捜査を行います。
実際に賭博罪で検挙された事案では、不起訴となる可能性も十分に考えられます。
- 平成28年度の統計では、賭博罪の起訴率は55.1%であり、起訴猶予率は43.9%でした。
- 賭博の内容や賭け額が軽微で、前科・前歴がない場合には、反省の態度を示すことで起訴猶予・不起訴処分となる可能性が十分考えられます。
不安がある場合の迅速な対処法
もし、ご自身の行為について逮捕されるのではないか、いつ逮捕されるのだろうか、家族に知られるのだろうか、前科がついてしまうのだろうか、といった不安や悩みをお持ちの場合、早期に弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 不安の解消: 警察からの呼び出しや捜査の流れ、今後の見通しについて説明を受けることで、精神的なサポートが得られます。
- 逮捕回避: もし捜査が進む可能性がある場合でも、弁護士は逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示す意見書を提出するなど、逮捕を回避するための活動を行うことができます。
- 不起訴処分: 賭博罪のような被害者がいない事件であっても、反省の態度や賭博行為との訣別、家族のサポートを適切に検察官に訴えることで、不起訴処分(前科回避)となる可能性を高めることができます。
刑事事件はスピードが命であり、早い段階で弁護士に相談することが、最善の解決を目指す上で重要となります。
