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デリヘルで本番行為を行ってしまいました。女性が拒否したため直ぐやめたものの、お店やスタッフから被害届を出すと言われています。どうすれば良いですか?

デリヘルで本番行為を行ってしまいました。女性が拒否したため直ぐやめたものの、お店やスタッフから被害届を出すと言われています。どうすれば良いですか?

いわゆるデリバリーヘルス(デリヘル、派遣型風俗店)を利用中に、性的な行為に及び、その後女性スタッフや店舗側から「被害届を出す」と告げられるケースは少なくありません。成立し得る犯罪や、今後どのように対処すべきかを解説します。

成立し得る犯罪の種類とその重大性

デリヘルは、性的サービスを提供している店ではありますが、女性が拒否したにもかかわらず性的な行為に及んだ場合、それは不同意性交等罪または不同意わいせつ罪という重大な性犯罪に該当する可能性があります。

不同意性交等罪の可能性

性的なサービスを受ける前や受けている間に、相手方との間で本番行為をするとの真意に基づく合意があった場合、不同意性交等罪には当たりません。

一方で、その当時は真意に基づく同意があったとしても、様々な事情により女性の感情が変化し、事後的に被害届を提出されてしまうケースもあります。また、一見同意があるように見えても、実際には男性に対する恐怖等から明確に断ることができなかっただけであり、実際には真意に基づく同意はなかったというケースもあります。そのようなケースで性交に及んだ場合、不同意性交等罪の被疑者として捜査を受け、起訴されて有罪となってしまう危険性があります。

  • 性交等とは: 性交のほか、肛門性交、口腔性交、または膣もしくは肛門に身体の一部(陰茎を除く)もしくは物を挿入する行為であってわいせつなものを含みます。
  • 不同意性交等罪の刑罰: 刑法に「5年以上の有期拘禁刑」と規定されており、罰金刑の定めはありません。
  • 実刑リスク: 法定刑の下限が5年であるため、原則として執行猶予を付けることができません。起訴され有罪判決を受けた場合、初犯であっても実刑となる可能性が高い重大犯罪です。
  • 未遂罪: 不同意性交等罪には未遂罪も処罰されます。
  • 中止犯: 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合、自己の意思により中止したときは、刑が減軽または免除される可能性があります。今回は「直ぐやめた」とのことですが、これが「自己の意思により犯罪を中止した」と認められれば、刑の減軽または免除の対象となる可能性が出てきます。

不同意わいせつ罪の可能性

性交等に至らないわいせつな行為に留まった場合でも、女性の真意に基づく同意を得ないまま身体に触れるなどのわいせつ行為に及んだ場合、「不同意わいせつ罪」が成立する可能性があります。

  • 不同意わいせつ罪の刑罰: 6月以上10年以下の拘禁刑であり、こちらも罰金刑の規定はありません。起訴されると公開の法廷での正式な裁判になります。

逮捕される可能性と警察への対応

不同意性交等罪や不同意わいせつ罪に該当する行為が実際に行われたり、真意に基づく同意があったにもかかわらず女性の感情が変化するなどして、女性から捜査機関に被害申告があり被害届が提出されると、捜査機関は現場の実況見分や防犯カメラ映像の解析といった捜査を開始します。特に不同意性交等罪は法定刑が重く、重大な事案とされていますので、捜査機関に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いと見なされ、逮捕される事案も多いです。

逮捕・勾留の期間

もし逮捕された場合、起訴・不起訴の決定までに最長で23日間もの長期間にわたり身体拘束を受ける可能性があります。長期間の欠勤は、会社を解雇されるなどの不利益に直結します。速やかに身柄解放を解消するためには、弁護人によって検察官や裁判官に意見書や不服申立てを提出したり、相手方との間で示談を進める必要があります。

逮捕回避と早期解決が最優先

刑事事件化を防ぎ、また逮捕・起訴を避けるためには、一刻も早く弁護士に相談し、迅速に対応を開始することが極めて重要です。

  • トラブル発生時: 店舗や施術スタッフから「被害届を出す」などと連絡があった場合、刑事事件に発展する可能性があります。
  • 店舗やスタッフからの金銭要求: 風俗店の店長などから多額の金銭を要求されたり、高額な慰謝料の示談書に署名するよう迫られたりすることがありますが、要求に応じる義務はありません。安易に応じると法外な金額を支払わされる可能性があるため、すぐに弁護士に相談すべきです。

不起訴処分獲得と示談の重要性

性犯罪において、前科をつけずに事件を解決し、不起訴処分(刑事裁判にかけない決定)を獲得するためには、被害者との示談交渉が最も重要となります。

示談交渉の必要性

わいせつ行為は被害者のいる犯罪であり、被害者の被害感情が、検察官が起訴・不起訴の判断をするにあたっての大きな考慮要素になります。そのため、示談によって被害者の処罰感情が緩和したことを検察官に主張することが、不起訴処分の獲得に当たって重要なのです。

  • 不起訴の可能性: 示談が成立し、被害者が加害者の刑事処罰を望まないという合意に至った場合、検察官は起訴猶予を理由に不起訴処分とする可能性が高くなります。
  • 実刑回避: 不同意性交等罪のような重罪では、示談が成立しない場合、初犯であっても実刑判決となるリスクが高いです。公判段階で示談ができたとしても、実刑になる可能性は残ります。そのため、捜査段階での示談獲得が不可欠です。

弁護士を通じた示談交渉

性犯罪の被害者は加害者に対して強い恐怖心や嫌悪感を抱いているため、加害者本人やその家族が直接示談交渉を行うことは、拒否されることが多く、事実上できません。

  • 連絡先の入手: 警察や検察官は、被疑者本人に被害者の連絡先を教えることはありません。弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者の連絡先を把握し、被害者の了承が得られた場合に限り、弁護士限りで交渉を進めることができます。
  • 交渉の円滑化: 弁護士が間に入り、被害者の心情に配慮した丁寧かつ慎重な対応で示談交渉を行うことで、交渉が円滑に進みやすくなります。
  • 示談書の作成: 弁護士は、刑事処分を避けるために効果的な内容(清算条項や宥恕文言など)を含む示談書を適切に作成できます。

弁護士に相談すべきこと

今回は、被害届が出される前の段階である可能性もあるため、特に迅速な弁護活動が求められます。今すぐ弁護士に相談することで、以下のような活動が可能になります。

  • 逮捕回避活動: 被害届が出た場合でも、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に説得し、逮捕回避を目指します。
  • 事件の見通しと戦略: 不同意性交等罪は、行為の態様や同意の有無が争点となることが多いため、弁護士が詳細な事情を聞き取り、今後の見通しや最善の弁護方針を立てます。

刑事事件に強い弁護士に相談することで、逮捕・勾留の回避や、前科がつくのを避ける活動を迅速に進めることが可能となります。

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