
警察から電話で連絡があった場合、それは何らかの事件の捜査に関連して、あなたに事情聴取(取調べ)を求める趣旨である可能性が高いです。逮捕されていない段階での捜査は「在宅事件」として進められることが多いですが、その対応によっては、逮捕のリスクが高まったり、不利な状況に陥ったりする可能性があります。
警察からの電話連絡が示す状況
警察から呼び出しがある場合、それは任意での取調べを求められている状態です。これは、あなたが逮捕・勾留による身体拘束を受けていない「在宅事件」として捜査が進んでいることを意味します。
在宅事件では、被疑者は日常生活を送りながら、警察や検察からの呼び出しに応じて捜査(取り調べや現場検証など)を受けます。任意の取調べは、被疑者に取調べに応じる義務はありません。また、取調べの途中であっても退室することは自由です。
警察からの連絡を無視した場合のリスクと刑事事件への発展
取調べに応じる義務はないため、任意の取調べは拒否できます。一方で、警察からの連絡を無視したり、呼び出しに応じなかったりすると、逮捕される可能性が生じるリスクも無視できません。
逮捕されるかどうかは、事件の重さや、証拠隠滅・逃亡のおそれなどによって決まります。出頭拒否は、捜査機関が逃亡のおそれがあると判断する方向に繋がる事情の一つです。事案によっては、そのようなリスクを踏まえてでも、弁護人から書面を提出した上で逃亡の趣旨ではないことを明確にした上で、取調べ拒絶を貫く必要が生じる場合もあります。
また、当初は任意の取調べに対応していたとしても、その後逮捕されてしまうこともあります。薬物事件などで自宅待機を命じられたにもかかわらず出頭に応じない場合、捜索差押令状と逮捕状を持って警察官が突然自宅にやってくることになります。逮捕は突然執行されるものであり、事前にいつ逮捕されるかを予想することは困難です。
在宅事件であっても捜査は継続しており、最終的に検察官が起訴・不起訴を判断します。在宅事件だからといって「大した事件じゃないから起訴されないだろうとタカをくくるのは大間違い」であり、起訴される可能性は十分にあると言えます。
警察からの連絡があった場合の適切な対応
警察から連絡があった場合、事態が深刻化する前に一刻も早く弁護士に相談することが非常に重要です。弁護士に依頼することで、取調べへの適切な対応についてアドバイスを受けることができます。
取調べの方針決定
在宅事件の場合、警察から日にちを指定されて呼び出しがあるため、事前に弁護士に相談して取調べ対応の方針を決定しやすいという特徴があります。 取調べでは、弁護士と相談して慎重に対応方針を決定することが大切です。
供述調書作成の回避
弁護士に相談せずに取調べに臨んだ結果、極めて不利な内容の供述調書に署名押印してしまい、後から争うことが困難になるケースは少なくありません。こうした事態を防ぐためにも、起訴前の段階から弁護人を選任することが重要です。
リアルタイムの支援
任意の取調べであれば、取調べの途中に取調室を出て、弁護士と直接または電話等で相談することも可能です。
黙秘権行使の検討
黙秘権の行使は、捜査機関に有利な供述調書を作らせないという点で有効な手段となり得ますが、黙秘権の使い方には注意が必要であり、個々の事件に応じて弁護士の適切なアドバイスが重要です。
逮捕回避に向けた活動
弁護士に依頼することで、逮捕を回避するための活動が可能になります。
逮捕回避のための書類の準備
弁護士に依頼すると、逮捕を回避するための手続(身元引受人の確保など)を準備できます。また、弁護士がついていることが、逮捕の必要性の判断において考慮されることがあります。
示談交渉の開始
被害者がいる事件の場合、被害者との示談が成立すれば、逮捕の可能性が少なくなります。初犯であれば、示談の成立により不起訴になる可能性も高くなります。示談交渉は、被害者との直接接触を避けるため、弁護士を介して行うことが得策です。