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美人局(つつもたせ)とは何ですか? 美人局の手口や、美人局の被害に遭った場合の正しい対処法について教えてください。

美人局(つつもたせ)とは何ですか? 美人局の手口や、美人局の被害に遭った場合の正しい対処法について教えてください。

ご質問いただいた「美人局(つつもたせ)」は、男性を騙して金品を脅し取る犯罪行為です。その定義、具体的な手口、そして被害に遭った場合の対処法について解説いたします。


美人局(つつもたせ)の定義と語源

美人局(つつもたせ)とは、被害者となる男性が女性と肉体関係を結ぶか、もしくは結ぼうとした際に、女性と事前に共謀していた第三者が現れ、この第三者と女性が共同して男性から金品を脅し取る行為のことを指します。この第三者は、女性の夫や恋人である場合もあれば、女性と交際関係のない人である場合も多いとされています。

美人局(つつもたせ)の主な手口と事例

美人局の目的は、男性が「女性と性的関係を持った/持とうとした」という弱みにつけこみ、金銭を脅し取ることです。現代では、従来の手口に加え、インターネットやSNSを利用した新しい手口も主流となっています。

従来型の対面による誘い出し

歓楽街の路上、バーやクラブなどお酒を取り扱うお店で女性から声を掛けられた後、第三者が現れて法外な金額を要求されるという、美人局の典型的なパターンです。

SNSや出会い系サイトの利用(現代の主流)

最近では、インターネットやSNS、または出会い系サイトで知り合った女性が、実は美人局の実行犯であったというケースが多く、これが主流となっています。

  • LINE等を利用した強盗致傷事例: スマートフォンの無料通信アプリ「LINE」などを使って男性を誘い出し、待ち伏せていた共犯者が因縁をつけ、暴行を加えて現金を奪ったとして、少年ら男女6人が強盗致傷などの容疑で逮捕された事例が報道されています。
  • 出会い系サイトを利用した強盗致傷事例: 出会い系サイトで知り合った少女に会いに来た男性に対し、集団で「強姦(ごうかん)になるぞ」などと因縁をつけて暴行を加え、現金を強奪したとして、少年少女計6人が強盗致傷容疑で逮捕された事例があります。

盗撮を利用した新型「美人局」である盗撮ハンター

現代版美人局として、男性に女性を盗撮させたところ、第三者(夫など)が現れて金銭を要求するという手口も確認されており、盗撮ハンターと言われています。一見、盗撮犯を逮捕する正しい行為のように見えますが、たとえ損害賠償や示談金の請求という名目であっても、相手を威嚇して金銭を奪い取る行為は明白な犯罪行為です。このような行為は恐喝未遂容疑での逮捕事例として報告されています。

美人局に成立しうる犯罪(加害者側)

美人局の実行者(女性と共謀者)は、以下の重大な犯罪に問われる可能性があります。

  • 恐喝罪/強盗罪: 「暴行又は脅迫」を用いて金銭を脅し取る行為は、恐喝罪が成立します。暴行・脅迫の程度が著しく、被害者の抵抗を完全に抑圧する態様で行われた場合には、強盗罪が成立する可能性があります。
  • 詐欺罪: 性交渉を行う意思がないのに呼び出して金銭を要求したり、実際には成年である女性を「児童買春」が成立するとして慰謝料を請求したりするなど、虚偽の事実を示して金銭を請求する行為には詐欺罪が成立する可能性があります。
  • 脅迫罪・暴行罪/傷害罪: 肉体関係を結んだことを理由に害悪を告知して相手を畏怖させた場合は脅迫罪が、暴行や傷害を与えた場合は暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。

美人局の被害に遭った場合の対処法

美人局の加害者側からの金銭要求は、暴力的な手段で脅し取る重大な犯罪行為であるため、このような要求に応じる義務はないと考えられます。

その場での対応

  • 不審な点に気づく: やたらと相手が積極的であったり、過剰に人目を避けたりするなど、美人局は第三者から見れば明らかに不審な点が多いのがほとんどです。話があまりにも順調に進む場合には、冷静になって考えることが重要です。
  • 金銭や個人情報を渡さない: 女性に不審な点がある場合は、身分証などのカード類や不要に高額な金銭などは極力持ち歩かないようにしましょう。
  • 警察への通報: 脅迫されたり、金銭を要求されたりした場合は、素直に警察に相談することが最善の対処法です。

警察に相談しにくい場合の対処法

被害に遭ったことが、あなた自身の法令違反(例: 児童買春など)に繋がるため、警察に怖くて相談できないという場合もあるかもしれません。このような場合は、一人で抱え込まず、弁護士に相談してください。

  • 秘密の厳守: 弁護士は守秘義務を負っているため、相談内容が家族に話されたり、警察に通報されたりすることはありません。
  • 最善の対応を検討: もし何らかの法令違反があったとしても、弁護士はどのような終局処分が予想されるかを示した上で、依頼者の方にとって最善の対応(詐欺等の被害として警察に通報すべきか否かなど)を一緒に検討することができます。

証拠の保全と弁護士への相談

SNSを利用した美人局の場合、LINEなどのやり取りはできるだけ残すようにした方がよいでしょう。また、詐欺や恐喝など刑事事件に巻き込まれてしまった場合、逮捕の可能性や、今後の処分の見通しについて不安がある方は、早期に弁護士に相談することをお薦めします。弁護士に相談することで、事件の早期解決を目指すことができます。

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