
警察が行う「補導」(街頭補導)の対象となるのは、「非行少年」と「不良行為少年」です。日本の少年法において、「少年」とは、20歳に満たない者を指します。補導の対象である不良行為少年とは、飲酒、喫煙、深夜徘徊その他、自己または他人の徳性を害する行為(不良行為)をしている未成年者のことをいいます。
民法上の成人年齢は18歳に引き下げられましたが、飲酒や喫煙など、「パターナリスティックな観点」(保護的な観点)に基づいて定められている年齢制限は据え置きとなる傾向にあります。実際、飲酒や喫煙については、改正後も引き続き満20歳未満の者は禁止されています。したがって、警察の補導活動の対象となる年齢は、原則として20歳に満たない者であると考えられます。
補導の定義と対象となる時間・行為
「補導」とは、非行(未成年者の犯罪)の防止を目的とした、警察活動の総称です。これは「少年警察活動規則」によって定められている警察の活動の一つです。警察が、「自己又は他人の徳性を害する行為」を行っている少年を発見した場合に補導が行われます。補導には、駅や繁華街など犯罪が起こりやすい場所で必要に応じて行われる街頭補導と、犯罪を未然に防ぐために対象者が改善するまで指導を続ける継続補導があります。
補導の対象となる具体的な行為
補導の対象となる行為(不良行為)には、以下のようなものが挙げられています。
- 飲酒
- 喫煙
- 家出
- 深夜徘徊(深夜外出)
- 薬物乱用
- 粗暴行為
- 金品持ち出し
- 暴走行為
特に深夜外出は補導の対象となり得ます。例えば、東京都の青少年保護育成条例では、保護者に対し、通勤や通学などの正当な理由がある場合を除き、深夜(午後11時から翌日午前4時まで)に青少年(18歳未満の男女)を外出させないよう努めることが規定されています。
補導される時間
補導される時間について明確な制限は定められていませんが、上記のとおり深夜帯の外出が不良行為として補導対象となる具体例に含まれています。
補導された場合の流れと影響
補導は刑罰を科す行為ではありません。補導された場合、警察は以下の対応を行います。
- 当該不良行為についての注意。
- その後の非行を防止するための助言や指導。
- 必要に応じ、保護者(学校または職場の関係者を含む)に連絡。
例えば、パパ活(ママ活)を行った未成年である受託者は刑罰の対象にはなりませんが、警察に「補導」をされることがあります。
非行歴と補導歴の違い
補導された履歴は補導歴として記録されますが、非行歴(犯罪少年として検挙または補導された履歴)とは区別されます。
- 補導歴の影響: 該当少年の審判の際に過去の資料として参考にされる、または補導の際に警察による対処が変わる、といった影響があります。
- 成人後の扱い: この補導歴は、成人すると破棄されます。
補導は、少年が社会のルールから逸脱することを防ぎ、健全な育成を図るための指導措置であり、それ自体が刑事的な処罰ではありません。しかし、補導された少年が立ち直る資質を持っていることから、大人の厳格な制度に接することで、ショックを受け、目を覚めさせる効果があるとも考えられています。