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AIでポルノ動画(ディープフェイクポルノ)を制作しアップロードしました。逮捕されるのでしょうか? 名誉棄損罪や著作権法違反との関連についても教えてください。

AIでポルノ動画(ディープフェイクポルノ)を制作しアップロードしました。逮捕されるのでしょうか? 名誉棄損罪や著作権法違反との関連についても教えてください。

AI技術を用いたディープフェイクポルノ(合成ポルノ)の作成およびインターネット上での公開は、複数の刑罰法規に違反し得る犯罪行為です。

実際に、2020年10月には、AI技術を使ってアダルト動画の出演者の顔を女性芸能人の顔にすり替えたディープフェイクポルノを作成し、インターネット上にアップロード・公開したとして、男性2名が名誉毀損と著作権法違反の疑いで警視庁と千葉県警に逮捕された事例が報道されています。

さらに、その翌月には、このディープフェイクポルノが掲載されているウェブサイトのURLを自身の運営するウェブサイトに掲載した男性3名も、名誉毀損の疑いで逮捕されています。このことから、制作・アップロードを行った者だけでなく、拡散に加担した者も捜査対象となり、逮捕される事案が確認されています。

ディープフェイクポルノの作成・公開は、多くの場合、以下の3つの主要な犯罪が同時に成立する可能性があります。

成立し得る主な犯罪とその刑罰

ディープフェイクポルノの作成・公開行為には、主に「名誉毀損罪」、「著作権法違反」、「わいせつ物頒布等の罪」が成立する可能性があります。

名誉毀損罪(刑法第230条)

ディープフェイクポルノは、顔をすり替えられた人物が、あたかも動画中の性的な行為を本当に行ったかのように視聴者を誤信させるほどの精巧さを持っています。このような動画をインターネット上に公開する行為は、不特定多数の人に対し、当該人物がアダルト動画に出演しているように見せて社会的評価を低下させるものですので、名誉毀損罪に当たり得ます。

成立要件

  • 公然と(不特定または多数人が認識できる状態で)
  • 事実を摘示し(人の社会的評価を低下させるに足りる具体的事実を示し)
  • 人の名誉を毀損したとき(現実に社会的評価が害される必要はない)

被害対象

顔をすり替える対象は芸能人である必要はなく、一般人であっても同様に名誉を棄損することになり、名誉棄損罪が成立し得ます

刑罰

名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑もしくは禁錮、または50万円以下の罰金です。

著作権法違反(著作権侵害・著作者人格権侵害)

ディープフェイクポルノは、その作成の過程で、既存のポルノ作品の映像を著作権者の許諾を得ずに無断で利用し、さらに他人の顔写真を合成することで著作物である作品の内容を改変していることが多いです。この行為は、以下の二つの権利侵害に該当する可能性があります。

権利侵害の種類 行為の内容 刑罰(著作権法第119条)
著作権侵害 作権者の許諾なく既存の作品を無断で利用する行為。 10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科
著作者人格権侵害 著作者に無断で著作物の内容等を改変する行為(同一性保持権の侵害)。 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科

著作権法違反は、法定刑が「10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金」と定められており、重い犯罪として処罰されます。

わいせつ物頒布(わいせつ電磁的記録媒体頒布)罪(刑法第175条)

ディープフェイクポルノであっても、それが「わいせつ物」の定義に当てはまる場合、インターネット上で公開する行為はわいせつ物頒布罪に当たり得ます。

  • 「わいせつ」の定義: 判例によれば、「わいせつ物」とは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの、と定義されています。インターネットが普及した現代では、わいせつな画像等のデータをハードディスクに蔵置し、不特定又は多数の人がアクセスできるようにすることもこの罪に当たります。
  • 行為の定義: 電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録を頒布(有償・無償を問わず、不特定又は多数の人に交付すること)する行為が禁止されています。
  • 刑罰: わいせつ物頒布等の罪の刑罰は、2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または拘禁刑及び罰金が併科される可能性があります。

逮捕後の流れと刑事処分の見込み

逮捕された場合のリスクとして、ディープフェイクポルノの作成・公開は複数の罪に該当するため、警察の捜査対象となった場合、逮捕される可能性が高いです。もし逮捕された場合、最大で23日間身柄拘束が続く可能性があり、その間、電話等の外部との連絡手段は大きく制限されます。

刑事処分の見込み

ディープフェイクポルノに関する事案は、上述したように複数の犯罪に該当しますが、初犯であれば罰金刑となる可能性も考えられます。ただし、罰金刑であっても前科となることに変わりはありません。

不起訴処分を目指すための活動

被害者が特定可能な名誉毀損罪や著作権法違反で立件された場合、被害者(顔を合成された人、または著作権者)との間で示談を成立させることができれば、不起訴処分となり、前科を回避できる可能性があります。しかし、被害者が芸能人であったり、大きな会社であったりする場合には、加害者自身が示談交渉を申し入れても相手にされないことが考えられるため、弁護士に依頼して示談交渉を進めるのが望ましいでしょう。

また、警察の捜査がまだ及んでいない段階であれば、早期に弁護士に相談し自首を行うことで、その後の逮捕を回避できる可能性があります。

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